熊本県玉名市にある『疋野神社』へ参拝しました。
平安時代の記録『続日本後紀』によると、840年に官社に列せられたとされ、熊本県内で最も古い神社の一つとされています。
これは「延喜式神名帳」に記された肥後国四座のうちの一座でもあり、当時の地方豪族であった日置氏の守護神として崇拝されました。
しかし、日置氏の没落と共に衰退し、社殿の跡さえも不明になってしまいます。
やがて近世に再興され、熊本藩主・細川氏から厚く崇敬された歴史を持つ神社です。
・地元の豊作、健康を見守る神社
・御朱印頂戴時に、お米を頂ける貴重な神社
・長寿の泉が、地元の水汲みスポットとして有名
Contents
疋野神社の概要
名称: | 疋野神社 |
---|---|
読み方 | ひきのじんじゃ |
住所 | 〒865-0061 熊本県玉名市立願寺457 |
創業 | 840年 |
電話番号 | 0968-72-2917 |
参拝可能時間 | 24時間 |
社務所受付時間 | 8:30~16:00 |
御朱印有無 | あり |
駐車場 | 無料:参道の横に20台程度スペース |
例祭日 | 10月15日 |
公式サイト | https://www.hikino-jinja.jp/ |
公式instagram | – |
疋野神社のアクセス方法・行き方
・玉名駅から徒歩約23分
・新玉名駅から徒歩約43分
経路
県道165号線へ入り、右折して長者通りへ入ります。
直進すると左手に大きな鳥居が見えてきます。
鳥居の中へ車で左折して入ることが可能です。
疋野神社の案内板が目立ちます。
鳥居の先は歩行者もいるため、減速して進みましょう。
駐車場
左側に駐車場があります。
こちらに車を停めた場合、本堂まで1~2分ほど歩くことで到着します。
疋野神社の由緒・御祭神・御利益
由緒・歴史
疋野神社は、景行天皇が築紫に御巡幸された時よりも古いと伝わる、2000年の歴史を持つ肥後国の名高い神社です。
平安時代の六国史の一つ『続日本後紀』には、仁明天皇の承和7年7月庚子(西暦840年)に、肥後国玉名郡の疋野神社が官社に列せられたことが記されています。
この記録により、疋野神社は格式の高い「国史現在社」として歴史的な価値を有し、また平安時代に制定された法典『延喜式』の神名帳にもその名が記載されている「式内社」として、特に貴重な神社とされています。
『延喜式』は延長5年(西暦927年)に制定され、当時すでに存在し、国家の守護神社(官社=官幣社)として著名であった神社が記録されています。
熊本県内には現在約1400社の神社が宗教法人として存在していますが、その中で式内社に指定されているのは、阿蘇地方の阿蘇神社、国造神社、そして玉名地方の疋野神社のわずか三社のみです。
御祭神
波比岐神 | 『古事記伝』で波比岐神を「這入君(はしき)」「端引(はひき)」の意味から、屋敷を守る神と解釈される。 |
大年神 | 『古事記』では、スサノオ命と神大市姫の間に誕生した神様。お正月の飾り物はもともと、この年神を迎えるための準備であり、門松は年神が宿る依代、鏡餅は年神へのお供え物とされる。 |
御利益
ご利益 | 縁結び |
疋野神社の御朱印
社務所
境内の右奥側に社務所があります。
本堂で参拝後にスムーズに社務所へいけます。
御朱印
御朱印は、書き置きになります。
日付は手書きで記載する形です。
御朱印は紙袋の中にあり、お米が同封されています。
御朱印の案内紙もあります。
お米はご飯に炊き込んでご加護を頂くよう記載があります。
お守り
社務所でお守り等の扱いがあります。
疋野神社の境内の様子
三百年前の石鳥居
疋野神社の石鳥居は、300年以上前に松井直之によって寄進されたもので、その歴史的な価値は計り知れません。
現在でも、当時の人々の信仰の深さを感じさせる姿が残されていますが、平成28年(2016年)の熊本地震により一部が損傷しました。
この損傷に対して修復作業が行われ、再びその威厳ある姿を取り戻した様子は、現地を訪れる人々にとって大きな魅力となっています。
鳥居
境内に入る前に鳥居があります。
疋野神社は大きな鳥居が多くあるため、神聖さを感じさせます。
打手水
境内の左側に打手水があります。
お酌がないため、竹から流れてくる水からお清めをします。
神牛
牛は古来より五穀豊穣の象徴として崇められ、生命力や幸福をもたらす存在として当神社に奉納されています。
この神牛には特別な御神徳が宿っており、その頑強さにあやかって参拝者が健康や長寿を願う姿が見られます。
神牛を優しく撫で、その手で自らの手や足、腰をさすることで、神牛の力が伝わり、健康や長寿にご利益があるといわれています。
訪れる方々にとって、神牛は力強さと安らぎをもたらす心の拠り所となっているのです。
遥拝所
遠く離れた神社をこの場所から拝むための「遥拝所」です。
伊勢神宮や皇居の宮中三殿、靖国神社、さらには故郷の氏神神社など、距離や時間の都合でなかなか訪れることが難しい神社に対して、心を込めて拝礼を捧げるために設けられています。
狛犬-入り口前
一般道から駐車場へ入る際の鳥居手前に狛犬がいます。
この狛犬は、一般道を行き来する歩行者も見守っている感じがします。
狛犬-石鳥居前
石鳥居前にも狛犬がいます。
境内の手前にいることで、参拝者を迎え入れているのでしょう。
狛犬-境内
境内にいる狛犬です。
しめ縄を巻いており、神々しさを感じさせます。
本堂
本堂の、屋根は緩やかなカーブを描き、入り口には注連縄と紙垂が掛けられています。
手前には石灯籠が設置されており、神社の厳かな雰囲気が感じられます。
歴史と静寂を感じさせる、風情ある神社の様子が伝わってきます。
四体の龍
足野神社の御社殿には、神様を守護する四体の龍の彫刻が施されています。
これらの龍は、今から約350年前、肥後の名工・嶋田甚五郎によって彫られたもので、圧倒的な存在感と美しさで神社の守り神としての役割を果たしています。
参拝者が直接間近で拝観することはできませんが、東と西の龍は外からその姿を垣間見ることができます。
一瞬たりとも神様を守ることを怠らないこの四体の龍に感謝の気持ちを込め、特に十二年に一度訪れる「辰年」には特別な祈りが捧げられます。
長寿の泉
御神陵のすぐ横にある「長者の泉」からは、清らかで温かい御神水が湧き出ており、この御神水を求めて各地から多くの方が訪れています。
長い年月を経ても変わらぬ恵みの泉は、訪れる人々に神聖な癒しをもたらし、地元の人々や観光客に愛される存在となっています。
疋野長者伝説
昔々、都に美しい姫君がいらっしゃいました。
姫君は、夢の中で何度も「肥後国、疋野の里に住む炭焼小五郎という若者と夫婦になりなさい」とのお告げを受け、供を連れてはるばる小岱山の麓にある疋野の里へと向かうことにしました。
疋野の里に着いた姫君は、小五郎に夫婦になりたいと願い出ますが、貧しい生活を送る小五郎は驚き、「食べる物もなく、とても姫様をお迎えすることはできません」と断ります。
しかし姫君は、「これはお告げなのです。どうか私を妻にしてください」と強く願い、さらに金貨を渡し、「これでお米を買ってきてほしい」と頼みました。
仕方なくお米を買いに出かけた小五郎でしたが、途中で飛んできた白鷺に金貨を投げつけてしまいます金貨が当たった白鷺は傷つき、湯気が立ちのぼる谷間へと落ちていきましたが、しばらくすると元気を取り戻して飛び去って行きました。
お米を買わずに戻ってきた小五郎に、姫君は「それは大切なお金で、何でも買えるものでしたのに」と残念そうに話します。
すると小五郎は「あのようなものはこの山の中にいくらでもあります」と言いました姫君がよく周りを見ると、そこには無数の金塊が埋もれていたのです。
こうして、姫君と夫婦になった小五郎は「疋野長者」と呼ばれ、大変な栄華と幸せに包まれて暮らしたといいます。
疋野長者御神陵
社殿真裏に玉名温泉(旧立願寺温泉)を発見したと伝わる、疋野長者の御神陵があります。
玉名温泉の由来は、概要を読んでみると知ることができます。
猿田彦大神
猿田彦神は、道案内をなされた神であり、開運招福へ導く神として崇敬されます。
天孫降臨の神話において、天照大神の御孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が高天原から葦原中国(あしはらのなかつくに)に降臨する際、日本の道の守護神である猿田彦神が道案内を務めた神として知られています。
恵比寿様・大黒様
恵比寿様と大黒様の像です。
恵比寿様は左側に位置しており、通常釣竿や魚(鯛)を持っていることが特徴です。
右側には大黒様が描かれており、大きな袋と打ち出の小槌を持っていることが一般的です。
恵比寿様と大黒様は七福神の一部として、商売繁盛や豊穣の象徴とされています。
巨大絵馬
疋野神社に奉納された巨大な絵馬が並んでいます。
絵馬は神社に奉納される木の板で、願い事や祈願が書かれているものです。
ここでは、2024年にちなんだデザインや龍の絵が描かれた絵馬が複数見られ、年始の祈願や新年を祝う気持ちが表現されているようです。
荒神様
日本の信仰には「荒神(こうじん・あらがみ)」と呼ばれる、猛々しく荒々しい神様が存在します。
この神は霊験あらたかで、特に強い力を持つ神として崇められています。
一般的に、台所を守護する「荒神(こうじん)」とは異なる存在とされることが多く、地域や信仰により役割や呼び方も様々です。
護神殿復興記念
この石碑は、戦争で国を守るために命を捧げた人々への慰霊と感謝の意を込めて、また永遠の平和を祈って建立されたものです。
さらに、次世代を担う青少年の健全な成長を願い、弥富小学校の校歌が裏面に刻まれ、当時の敬神愛郷の精神を未来に伝えることが目的とされています。
建立日は平成7年(1995年)8月15日です。
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